TOP 「ち・お」 > Q&Aトピックス

 
   No.9  
 
こどもの肝油摂取、なにが問題?
   『ち・お』No.19で、幼稚園のお弁当後の肝油をもち帰らせ処分したとのことでしたが、肝油にどのような問題があるのでしょうか? 娘の通う幼稚園でも導入を検討中です。なにかデメリットがあるのでしたら知りたいと思います。(埼玉県/OM)
 
 肝油とはタラなどの肝臓からとった油で、1グラム中に2000から5000IU(国際単位)のビタミンAが含まれています。
 戦前・戦後の食糧事情の悪いころには、ビタミンAの不足から夜盲症(暗くなると見えなくなる「トリ目」といわれる症状)や眼球乾燥症(角膜がかわき、ひどくなると失明する)がみられたので、ビタミンA補給のために肝油をとることがありました。
 しかし、現在日本人はビタミンAを1日1人あたり2000単位以上とっているので欠乏症はありません。気になるなら、卵1個でもその必要量を全部まかなえます。
 過剰にとったビタミンAは脂肪に蓄積し、過剰症を起こすことがあります。
 慢性中毒では、脳圧が高くなり(頭蓋内圧亢進)、皮膚がぼろぼろ落ち、髪が抜け、筋肉痛や疲労がでてきます。こうした症状はビタミンAが原因とわかりにくいので悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

 ビタミンAの中毒には個人差があって、同じ量で3日目に中毒を起こす人もいれば、5年間食べ続けてもなんともない人もいます。
 1995年、厚生省は「妊娠3ヶ月以内又は妊娠を希望する女性におけるビタミンA摂取の留意点等について」という通知をだしています。
 そのなかで、ビタミンA補給剤を1日1万単位以上継続摂取するとこどもに奇形の増加が認められるので、今後の栄養相談、栄養指導および食品関係営業者などに対する指導にあたっては、ビタミンA所要量(女)は1800単位なので、ビタミンAを含有する健康食品やビタミンAを過剰摂取しないよう周知徹底すること、といっています。
 
 現在、幼稚園で肝油をとって過剰症が起きることは少ないと思いますが、そもそも食物からとれるものを薬剤のかたちでとる必要はありません。しかも、幼稚園などの集団の場で一律に与えることは問題です。
 幼稚園や学校で肝油をあたえると、本来食物からとれる栄養成分を薬剤のかたちでとってしまうことにこどもたちが疑問を感じなくなってしまうことがいちばん大きな問題だと思います(『ち・お』No.4「食と病気シリーズ4」、『ち・お』No.12、P14、ニューズレターNo.7もご参照ください)。
(本誌編集委員/里見 宏) 


  『ちいさい・おおきい・よわい・つよい』No.21          
(1998年11月1日第一刷発行)
「それなら知ってる!Q&A」(P91)より


 

バネ指と診断されました。
このままでも大丈夫ですか?
   次男(6歳)は、2歳のときにふとしたことで右手の親指がバネ指(通称)と診断されました。特別なことをしないかぎり痛んだりはしません。整形外科の先生は手術をすれば大丈夫といわれていますが、今は部分麻酔ができないので9歳くらいまで待ってからということです。手術以外でなんとかならないものでしょうか。
 また、バネ指のまま大人になってもべつに問題が生じなければ、このままではいけないのでしょうか。
(山梨県/M)
 

 通称バネ指というのは大人の場合で、正式には先天性母指拘縮と呼ばれるもので、多くの場合には腱自体が原因になっています。
 親指の一番先を曲げる長母指屈筋という筋があります。この筋が指先の骨を引っぱって、指が曲がったり伸びたりします。
 そして、この筋の腱には押さえ(滑車と呼びます)があります。腱はこの滑車のなかを動くしくみになっています。
 大人の場合は、この滑車の部分と腱とがこすれて、ひっかかるような感じでバネ指が起こります。
 こどもの場合は、生まれつきこの腱の一部がだんご状に太くなって、こぶのようになっていることがあります。そのために、指が曲がった状態で、腱が滑車のなかを通ることができず、指が伸びないという状態になっています。そういうものを先天性母指拘縮と呼びます。
 成長とともにこのこぶが吸収されてひっこめば、自然に治ることもあります。

 手術ではこの滑車の一部を切りひらくということをします。滑車の一部分を切りひらけば、こぶがひっかかることはなくなるので、腱が滑車のなかを動くことができ、指も動くというわけです。
 手術は40分ぐらいで終わり、入院も必要ではありません。傷も1センチ未満の大きさですし、出血するわけでも、神経などを切る危険があるわけでもありません。
 部分麻酔というのは局所麻酔のことですが、今のこどもたちは9歳まで待たなくてもだいたい4歳ぐらいで局所麻酔で手術するのにおとなしくしていることができます。ですから、9歳まで待つことはないでしょう。
 手術の時期をいちばん制限するのは、指の大きさです。使う手術の器械が同じだとすれば、手術の器械が入っていくためにはそれだけの大きさを切らなければなりませんね。相対的なもので、手の大きさが手術の時期を決めるものだと思っていいでしょう。4〜5歳になって、手の大きさが十分大きくなったところで局所麻酔でできます。ただし、手術には手遅れということはありませんので、あわててすることもありません。
 治療の時期のいちばんの問題はこどもの心です。こどもが指のことをほかの子からいわれて気にするようだったら早く手術するほうがいいでしょう。
 しかし、見せなければだれにもわかりませんから、そのまま大人になることもありえます。現に、大人になってもそのままの人もいます。両方の指が曲がったまま看護婦さんをしている人もいます。
 
 伸びないだけで痛みもなんにもなくて、ほかの人は気がつかない。仕事には困らない。親指が伸びないというのは意外に困らないものです。職業を左右するものではありません。ですから、気にしなければ、そのままでもよいということです。
 リハビリとして、伸びないものをしょっちゅう伸ばすことによって拘縮がとれることが30パーセントぐらいありますが、私はあまりおすすめしていません。
 気になさる必要はないと思いますが、どうしても気になるのであれば手術を受けられるのがいいかと思われます。
(整形外科医/田渕健一)





 


ちいさい・おおきい・よわい・つよい』No.22          
(1999年2月1日第一刷発行)
「それなら知ってる!Q&A」(P89〜90)より



   
   




© 2003 ジャパンマシニスト社 ALL RIGHTS RESERVED.
(株)ジャパンマシニスト社 〒160-0008 東京都新宿区三栄町 9
TEL.0120-965-344 Fax.042-860-5433
jm@mbi.nifty.com